かいぶんしょおきば

怪文書を適当に投げ捨てておくところ

はつらいぶ!

バイト中にふと飛鳥くんの泣き顔が見たいなと思ったので、飛鳥くんの初ライブの時の話を書こうと思います。

飛鳥との馴れ初めは、まだ今の事務所ができて間もない頃、僕がたまたま街で見かけた飛鳥をスカウトしたっていうのが始まりなんだけど、まぁその時の話は今回は省略します。まぁデレステの飛鳥コミュ1話みたいなのを想像してくれればいいです。当時はまだうちに所属してるアイドルは蘭子ちゃんだけで、しかも蘭子ちゃんもまだCDデビューする前っていう本当に初期の初期の段階でした。当然大きなお仕事なんて取れないし、毎日毎日レッスンとオーディションの繰り返し。で、飛鳥が所属して1ヶ月が経つくらいの頃、いい加減デビューさせてあげたいってことで、僕が社長に直談判して2人のデビューライブの場を設けることに成功しました。でも、割と無理言って設けた機会だったので準備期間が非常に短く、舞台に立つのが初めての2人にとってはすごいプレッシャーだったかなと今考えてみると思ったり。

で、短い準備期間はあっという間に過ぎてデビューライブ当日を迎えたんですけど、蘭子ちゃんと飛鳥くんの2人はユニット『ダークイルミネイト』としてデビューすることになりました。ライブの滑り出しは上々で、お客さんも大盛り上がり。蘭子ちゃんの熊本弁も絶好調で、会場のみんなが闇に飲まれてました。
そんな盛り上がってるライブの終盤に事件はおきました。蘭子ちゃんの華蕾夢見ル狂詩曲、飛鳥くんの共鳴世界の存在論のそれぞれの披露が終了し、2人のユニット曲の準備のために一旦2人は舞台裏に引っ込むんだけど、その時に飛鳥くんが機材の端に足を引っ掛けて転んじゃって、足をひねっちゃったんですね。本人は平気だって言い張ったけど、明らかに足が腫れてるからそんな足でダンスを踊らせるわけにはいかないし、ユニット曲を蘭子ちゃん1人でやらせるのも無理な話だから、そのまま飛鳥くんは楽屋に戻らせました。プログラムを急遽変更して、ライブ自体は無事終了したんだけど、飛鳥くんは自分の不注意でユニット曲を披露するという一番大きなプログラムを潰してしまったって思ってしまって塞ぎ込んでしまった。実際のところは蘭子ちゃんはユニット曲が出来なかったことは全然気にしてなくて、むしろ飛鳥くんの怪我の心配をしてたんだけどね。そのことを蘭子ちゃんは伝えようとしたんだけど、完全に取り乱してる飛鳥くんはつい声を荒げて、「そんなにボクに構うな!」的なことを言っちゃったんですね。言ってしまった後に飛鳥くん本人も失言をしたと気付いたんだけど、蘭子ちゃんは完全に動揺しちゃって楽屋を出ていっちゃうし、飛鳥くんは飛鳥くんで余計に塞ぎ込んじゃうしで楽屋の空気は最悪と言っても過言ではなかった。

その空気に耐えきれなくなった僕が、飛鳥くんの頭を無言で撫で始めたら、驚いた顔をしてこっちを見てきたんですね。「ボクのせいで全てが無駄になってしまったのに…」って自分を責め始めるから、「飛鳥のせいじゃないし何も無駄になってない。会場は最後まで歓声と笑顔でいっぱいだった。ユニット曲はまた別の機会に披露すればいい。今は無事ライブを終えられたことを喜ぼう。」って伝えた。そしたら、涙をずっと堪えてた飛鳥くんがついに泣き出しちゃったので、僕の胸を貸してあげて、泣き止むまで優しく抱きしめてあげてました。泣きながら言葉にもならない何かを喚いて、普段のような言動も一切なく、そこにいるのはただの14歳の女の子だった。

多分30分くらいずっと泣いてたんじゃないかなぁと思うんだけれど、ライブの疲れと散々泣いた疲れとが重なって、飛鳥くんは僕の腕の中で寝ちゃいました。ちょうどその頃に楽屋から出て行ってた蘭子ちゃんも帰ってきたので、その後の経緯を伝え、蘭子ちゃんにも労いの言葉をかけ、頭を撫でてあげました。頭撫でてるうちに蘭子ちゃんまで僕にもたれかかって寝ちゃった。2人ともすごくいい匂いがした。起こすのもしのびないなぁと思ってしばらくそのままでいたら終電逃しちゃって事務所に3人で泊まることになるのはまた別の話で。